紙幣のデザイン刷新 千円札は野口英世から北里柴三郎へ 千円札の歴史

千円札

今日は、昨日(五千円札記事)と一昨日(一万円札記事)に続いて2024年に改刷される予定の新紙幣と、過去の紙幣について紹介します。

みなさんの一番身近な千円札。過去にどのような紙幣が存在したのか、どのような人物が肖像になったのかをまとめました。

早速見ていきましょう!

※注‥一部の項目では、「札」ではなく「券」と記述していますが、意味は同じです。

※注2‥現在の法律上、有効な紙幣のみを紹介しています。

目次

B千円券 聖徳太子 1950年(昭和25年)1月7日発行

引用:https://www.npb.go.jp/index.html

1950年(昭和25年)に登場したのがB千円券です。

終戦直後にインフレーション抑制を目的として、新円切替が実施されました。しかし、新円切替をもってしてもインフレーションの進行は抑えきれませんでした。

当時の最高額面券であったA百円券は発行量が増大し、1949年(昭和24年)頃には発行枚数の95%以上を占めるようになりました。

このことから、金融機関の高額の現金決済に支障をきたすようになったため、高額紙幣が必要になり、1950年(昭和25年)に発行されました。

表面の肖像には聖徳太子が描かれています。裏面には、左側に法隆寺夢殿、右側に正倉院御物の「四騎獅子狩文錦」の織物の図柄の一部分が描かれました。

他にもB千円券には法隆寺や正倉院に関連する図柄が多く採用されています。

アルファベット1桁または2桁+数字6桁+アルファベット1桁の記番号形式が初めて採用された日本紙幣です。

透かしは「日銀」の文字とサクラの図柄。

また、これまでの高額紙幣とは異なり、横長の寸法が採用され、そのスタイルは現在まで受け継がれています。

戦時中・終戦直後は、民間企業が印刷局から委託を受け、一部の紙幣を製造していましたが、B千円券以降からはの全ての紙幣を印刷局で製造することになりました。

C千円券 伊藤博文 1963年(昭和38年)11月1日発行 

引用:https://www.npb.go.jp/index.html

1963年(昭和38年)、B千円券の次に発行されたのが、C千円券です。

B千円券は戦前からの印刷技術や紙幣製造設備の延長線上で作られたので、印刷技術の向上により、精巧な偽造券(偽札)が多く見られるようになりました。

当時、近代化が始まっていた紙幣製造設備をフル活用し、最新の印刷技術・偽造防止技術を盛り込んだ紙幣がC千円券です。

表面の肖像は初代内閣総理大臣・伊藤博文。他にも菊の花やサクラなどが描かれています。

裏面には日本銀行本店本館が描かれました。

また、従来の日本銀行券に存在した額縁状の重厚な輪郭枠を完全取り去り、開放的なデザインとなっています。

記番号はB千円券と同じ形式でしたが、129億6千万枚を発行して記番号が一巡したので、記番号の色が黒から青に変更されました。

透かしは表面の肖像と同じ伊藤博文だが、透かしの伊藤博文は横顔になっています。

現存数は少ないです。

D千円券 夏目漱石 1984年(昭和59年)11月1日

引用:https://www.npb.go.jp/index.html

C千円券の発行開始から約20年が経過し、世の中の印刷技術が飛躍的に向上したため1980年代初め頃から、精巧な偽造券(偽札)が各地で発見されています。

そんな中、偽造防止技術強化のためD千円券が発行されました。

D千円券の改刷と同時に、D一万円券、D五千円券も改刷され、ATMや両替機、自動販売機などに対応できるように改刷されています。

表面の肖像は小説家・夏目漱石。裏面には、特別天然記念物である釧路湿原の丹頂のつがいが描かれています。

D千円券は6タイプ存在し、記番号の色が変わっていたり、銘板(製造者名)などに違いがあります。

透かしは表面の肖像と同じ夏目漱石。

D千円券はサイズが縮小されています。B千円券・C千円券より横幅が14 mm短くなり、E千円券以降もこのサイズです。

現在、発行はされていないため、流通数は少ないですが、たまに紛れているので確認してみてください。

E千円券 野口英世 2004年(平成16年)11月1日発行 

引用:https://www.npb.go.jp/index.html

現在、多くの人が使っている千円札は、E千円券として2004年(平成16年)に発行されました。

D千円券の発行開始から20年が経ち、印刷技術が著しく向上した1990年末期。2002年頃から偽造券(偽札)が急増しています。

諸外国では1990年末期以降、最新の偽造防止技術を盛り込んだ紙幣を次々に発行していました。

日本も諸外国にあわせE一万円券、E五千円券、E千円券を同時に改刷しました。

表面の肖像は細菌学者・野口英世。裏面は富士山と本栖湖に映る逆さ富士の風景が描かれています。

E一万円券、E五千円券と同じ「すき入れバーパターン」が偽造防止技術として採用されました。

他にも、左下の潜像模様にに重ねて「千円」の文字が印刷されています。E一万円券、E五千円券と違い、「ホログラム」は採用されていません。

公式には公表されていませんが、表面と裏面には「ニ」「ホ」「ン」の片仮名がシークレットマークとして入っています。

記番号の組み合わせが2011年、2019年に枯渇したため、記番号の色が黒色→褐色→紺色と変わりました。

視覚障害者が券種を識別できるように、表面下端の左右にインクを盛り上げて凸凹が作られています。

E千円券は「横棒」の識別マークです。(E一万円券はL字、E五千円券は八角形)

透かしは表面の肖像と同じ野口英世。

F号券? 北里柴三郎 2024年上半期改刷予定

引用:https://www.npb.go.jp/index.html

2024年上半期に改刷が予定されている千円券。同時に、一万円券、五千円券も改刷される予定です。

偽造抵抗力の強化やユニバーサルデザインへの対応などが目的です。

表面の肖像は医学者・北里柴三郎。裏面は世界的に有名な浮世絵である富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」(葛飾北斎筆)。

基本的なレイアウトは変更されないものの、漢数字で額面が記載されていた箇所にアラビア数字で額面が記載されているため、今までの紙幣と大きく印象が異なっています。

また、アラビア数字の「1」の字が新一万円券とは異なり、縦棒1本となっています。

記番号は9桁から10桁に変更される予定です。

公表されている新たな偽造防止技術として「高精細すき入れ模様」と「パッチタイプのホログラム」があります。

ホログラムは3Dホログラムで、見る角度によって図柄の肖像の顔の向きが回転しているように見えます。3Dホログラムが紙幣の偽造防止技術に採用されるのは世界初です。

視覚障害者のための識別マークは形状が変更されており、左右隅に斜線の連続模様が配置されています。

寸法は従来どおりの大きさとなっています。

2021年9月10日より新千円券の製造が開始されました。

まとめ

過去に発行された千円札、新しく発行される千円札の紹介でした。

D千円券は見たことありますが、B・C千円券は見たことがありません。

まだ、日本のどこかで流通しているのでしょうか?

見たことある方いましたら、コメントください^_^

財務省HP→https://www.mof.go.jp/index.htm

日本銀行HP→https://www.boj.or.jp

独立行政法人 国立印刷局→https://www.npb.go.jp

独立行政法人 造幣局→https://www.mint.go.jp

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です