今日は昨日(の記事)に続いて、2024年に改刷される予定の新紙幣と、過去の紙幣について紹介します。
一万円札の他に、五千円札・千円札も同時に改刷される予定です。
過去どんな五千円札があったのか、改刷した理由などと合わせて見ていきましょう。
※注‥一部の項目では、「札」ではなく「券」と記述していますが、意味は同じです。
目次
C五千円券 聖徳太子 1957年(昭和32年)10月1日発行

第二次世界大戦後、日本国内では通貨インフレーション発生に対する警戒心が強く、高額紙幣発行方針が公表されるも発行は断念していました。
そのため、戦後数年間はB千円券が最高額面でした。
1955年(昭和30年)頃から『神武景気』という経済成長が続き、国内経済が安定してきたため、通貨インフレーションの心配もほぼなくなり、一万円札と五千円札の発行が決まりました。
初めて五千円券が登場したのは、1957年(昭和32年)のことです。
しかし、まだ通貨インフレーションへの懸念があったため、1万円券より1年早く発行されています。
国内状況を見ながら、順に1万円券が発行される流れとなり、C五千円券は発行当時、日本の最高額面の紙幣でした。
発行された時期と高度経済成長が始まった時期が重なり、C五千円券は順調に流通していきました。
表面の肖像は聖徳太子で、B千円券・C一万円券と同じだったため、見分けやすいように五千円券は中央に描かれています。
裏面には日本銀行本店が描かれており、日本銀行行章を持った獅子(ライオン)が描かれていますが、これは日本銀行の扉や門などに彫刻されている紋章と同じものです。
透かしにも聖徳太子の肖像が使われていますが、笏を持たない姿を描いているので表面の肖像とは異なっています。
現在は、発行していないため流通量は非常に少ないです。
D五千円券 新渡戸稲造 1984年(昭和59年)11月1日発行

1984年(昭和59年)に発行されたのがD五千円券です。
C五千円券は、発行開始から20年以上経っており、1980年代初頭頃から精巧な偽造券(偽札)が散見され始めたため、偽造防止対策強化のため、D五千円券が発行されました。
同時に、D一万円券、D千円券の改刷が行われています。
この頃は紙幣取扱機器が普及し始めていたので、ATMや両替機、自動販売機などで使用できることを念頭に改刷されました。
表面の肖像は新渡戸稲造。左下の地球は、新渡戸稲造の「我、太平洋の架け橋とならん」という言葉に因んで描かれています。
裏面は、本栖湖の湖面に富士山が映る逆さ富士。この原画はE千円券にも使われています。
D五千円券は4タイプ存在し、記番号の色を変えたり、銘板(製造者名)を変えたりなど細かい変更がされていました。
透かしは表面の肖像と同じ新渡戸稲造です。紙幣の大きさはC五千円券に比べて小型化しています。
C五千円券に比べると見る機会は多いですが、発行自体はされていないので流通量は少ないです。
E五千円券 樋口一葉 2004年(平成16年)11月1日発行

今現在、最も流通している五千円券は2004年(平成16年)に登場したE五千円券です。
D五千円券発行から20年が経過し、偽造券(偽札)の発見が急増してきたため改刷、発行が決定されました。
1990年代末期、諸外国では最新の偽造防止技術を取り込んだ紙幣を続々と発行しています。
そのため、日本だけが旧技術の紙幣を使っている状況になってしまいました。
このままだと国際偽造団の標的になる恐れが出たため、E一万円券、E千円券と同時に改刷されました。
表面の肖像は樋口一葉。日本銀行券の表面の肖像に女性が描かれるのは初めてです。
裏面は、国宝『燕子花図』(尾形光琳筆)の図柄が描かれました。
偽造防止技術として、「すき入れバーパターン」と「ホログラム」が採用されています。
表面と裏面には「ニ」「ホ」「ン」の片仮名がシークレットマークとして入っています。(公式に発表しているわけではない。)
表面下端の左右にある凸凹は、視覚障害者が券種を識別できるようにしたものです。
インクを盛り上げて作られており、E五千円券は八角形のマークをしています。
また、E五千円券も2パターン存在し、記番号の色とホログラムの形が2014年に変更されました。
透かしは、表面の肖像と同じ樋口一葉です。
F五千円券? 津田梅子 2024年上半期改刷予定


2024年上半期を目処に、一万円券・五千円券・千円券が改刷されます。
偽造抵抗力の強化、ユニバーサルデザインへの対応などが目的です。
表面の肖像には教育者の津田梅子、裏面には日本固有種の植物である藤の一種の「ノダフジ(野田藤)」の花が描かれる予定になっています。
D五千円券・E五千円券で漢数字が記載されていた箇所にアラビア数字が大きく描かれ、漢数字の「五千円」は表面左上に記載されています。
裏面にもアラビア数字が大きく描かれているので、今までの日本銀行券とは違う印象です。
記番号は9桁から10桁に変更されています。
公表されている偽造防止技術は、「高精細すき入れ模様」と「ストライプタイプのホログラム」です。
ホログラムの図柄は3Dホログラムで、見る角度によって肖像の顔の向きが回転しているように見えます。紙幣の偽造防止対策として採用されるのは世界初です。
視覚障害者のための識別マークは、表面上下に斜線の連続模様が配置されています。
2021年(令和3年)11月26日より、製造が始まりました。
まとめ
五千円札の紹介、いかがだったでしょうか?筆者は、D五千円券がお気に入りです。
日本の紙幣に取り込まれている、偽造防止技術は世界からも高い評価を得ています。
時間があるときに、手元にある紙幣を見てみてください。
偽造防止技術がどこにあるのか探すの結構楽しいですよ(^o^)
次回は、新千円札について紹介します!お楽しみに!
財務省HP→https://www.mof.go.jp/index.htm
日本銀行HP→https://www.boj.or.jp
独立行政法人 国立印刷局→https://www.npb.go.jp
独立行政法人 造幣局→https://www.mint.go.jp
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