自動販売機のお釣りや、細かい支払いのときに使用されている10円玉。
この10円玉は、周囲の「ギザ」が有るか無いかでよく話題になります。
しかし、この10円玉、一昔前まで紙幣だったことをご存知ですか?
拾円券と呼ばれる紙幣で、現在でも使える紙幣があります。この『拾』という漢字については、「第4弾 五拾円札」で解説しています。
今日は、拾円札について見ていきましょう。
※注‥一部の項目では、「札」ではなく「券」と記述していますが、意味は同じです。
引用・出典:独立行政法人 国立印刷局HP
過去記事はこちらから
→第1弾 二千円札
→第2弾 五百円札
→第3弾 百円札
→第4弾 五拾円札
目次
拾円札は8種類存在 現在法律上有効なのは1種類のみ

現在でも、使えるのA拾円券のみです。
しかし、戦前・戦中を含めると全部で8種類の拾円札が存在します。
種類は以下のとおりです。
- 旧拾円券:1885年(明治18年)5月9日発行 (表面:大黒像、兌換文言、発行根拠文言)
- 改造拾円券:1890年(明治23年)9月12日発行 (表面:和気清麻呂、猪、兌換文言、発行根拠文言、偽造変造罰則文言)
- 甲拾円券:1899年(明治32年)10月1日発行 (表面:和気清麻呂、護王神社拝殿、兌換文言、発行根拠文言、偽造変造罰則文言)
- 乙拾円券:1915年(大正4年)5月1日発行 (表面:和気清麻呂、護王神社本殿、兌換文言)
- 丙拾円券:1930年(昭和5年)5月21日発行 (表面:和気清麻呂、兌換文言)
- い拾円券:1943年(昭和18年)12月15日発行 (表面:和気清麻呂)
- ろ拾円券:1945年(昭和20年)8月17日発行 (表面:和気清麻呂)
ろ拾円券も戦後に発行されましたが、新円切替のため1946年(昭和21年)3月2日限りで通用停止、10月末限りで失効しました。
これらの拾円札は希少価値が高く、オークションやフリマアプリなどでは、数千円〜数万円の値がついています。
A拾円券(A十円券) 国会議事堂・鳳凰 1946年(昭和21年)2月25日発行

A拾円券は、1946年(昭和21年)に登場しました。
終戦直後のインフレーション抑制のため、政府は新円切替を実施、A拾円券はその中で誕生した新紙幣でした。
当初の予定では、肖像に「伐折羅大将」を採用する予定でしたが、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)からクレームが入り、肖像は差し替えられました。
表面の肖像は、十字の枠内に国会議事堂の中央塔。右側には、四角い輪郭枠の中に法隆寺の古鏡の鳳凰と胡蝶が描かれました。
裏面は正倉院御物の古代裂から採った睡蓮と宝結びの模様です。
日本銀行行章の図柄が入っておらず、他の日本銀行券と異なった様式になっています。
記番号は通し番号ではなく記号のみです。
印刷局の他に、多数の民間委託先でも印刷されたため品質が不均一となっています。
透かしはなく、簡素な仕様になっていました。
現在発行されていない旧紙幣の中では現存数が非常に多く、オークションやフリマアプリなどで見ることができます。
10円硬貨の登場 紙幣から硬貨へ

1953年(昭和28年)1月5日に10円硬貨が発行されました。
このとき発行されたのがギザ有りの10円玉、「ギザ十」と呼ばれるものです。
この10円硬貨が市中に出回り始めた1953年(昭和28年)、A十円券の製造は終了しました。
ちなみに、ギザなしの10円硬貨が発行されたのは1959年(昭和34年)2月16日です。
それ以降、形を変えずに国民の生活を支えています。
戦後、いくつかの紙幣は硬貨に姿を変えました。(百円や五百円など)
まとめ
今日はA拾円券について紹介しました。
10円玉も、100円や500円のように昔は紙幣でした。
紙幣から硬貨に姿を変えても、お金の役目は変わりません。
これからも、私達の生活を支えてくれることでしょう。
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