2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻しました。侵攻から約1週間経過した今も戦闘は続いています。
今回の侵攻を受け、欧米各国はロシアに対する制裁を発動しました。
紛争や戦争が起きると各国の制裁に注目が集まりますが、国際連合(以下:国連)の対応も注目されます。
国連では25日、ロシアの侵攻に対して武力行使の即時停止と撤退を求める安保理決議案が採択されました。
しかし、ロシアが拒否権を行使したため否決されています。
多くの国が賛成した決議案を1カ国の拒否権で否決されました。この拒否権はどのような権利なのでしょうか。
今日はロシアが行使した拒否権についてを解説します。
参考・出典先→国連広報センターHP
目次
安全保障理事会とは

拒否権の解説をする前に、国連にある組織について知っておかなければなりません。
国連には、総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所、事務局の6つの主要機関があります。
拒否権はこの中の、安全保障理事会のみで使用されます。
安全保障理事会とは主要機関の中で最も大きな力を持っており、事実上の最高意思決定機関です。
5カ国の常任理事国と加盟国の中から選ばれる10カ国の非常任理事国の15カ国で構成されています。
非常任理事国の任期は2年で、常任理事国に任期はありません。日本は11期22年に渡って非常任理事国を努めており、世界最多となっています。
☆常任理事国
- アメリカ合衆国
- ロシア
- イギリス
- フランス
- 中国
★非常任理事国(2022年3月1日現在)
- アルバニア
- ブラジル
- ガボン
- ガーナ
- インド
- アイルランド
- ケニア
- メキシコ
- ノルウェー
- アラブ首長国連邦
拒否権とは

安全保障理事会での意思決定は、9カ国以上の理事国の賛成票によってされます。
賛成票はすべての理事国に与えられている権利です。
しかし、常任理事国はこの意思決定のうち重要事項の決定に対して反対の意思表示をすることができます。
この権利を「拒否権」と言います。
非常任理事国に拒否権はなく、常任理事国だけの特権です。
常任理事国の1カ国でも反対票を投じれば、その決定は否決されます。
拒否権は「大国一致の原則」とも呼ばれ、過去何度か行使されてきました。
自国の権益を守るためなどに拒否権は使われますが、その度国連の活動を妨げています。
過去に行使された拒否権

拒否権は過去に何度も行使されてきました。
特に冷戦期には、アメリカとソ連が拒否権を多く行使し、国連の活動が妨げられました。
冷戦が集結すると拒否権が行使される機会は減り、1990年(平成2年)5月31日から1993(平成5年)年5月13日までは拒否権が行使されていません。(国連史上最長)
2000年代に入るとシリア内戦などにより、拒否権の行使回数が増えました。
1992年(平成4年)以降はロシア、アメリカ、中国の拒否権行使が増えており、イギリスとフランスは1989年(平成元年)以降拒否権を行使していません。
拒否権の行使回数を見てみるとロシアがソ連時代と合わせて116回で一番多く、順にアメリカ(82回)、イギリス(29回)、フランス(16回)、中国(16回)と続いています。
まとめ
今日はロシアが行使した拒否権について解説しました。
自国の行動に対して非難している決議にYesとは言えないですよね…。
ウクライナ国内では民間施設や民間人にも被害が出ています。
ウクライナとロシアの代表団による協議が続けられていますが、まだ解決の糸口は見つけられていないようです。
全世界が終結を望んでいる戦争、早く終わって欲しいです。
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